出生前診断の検査にはどのくらいの費用がかかるの?

コラム

女性の晩婚化や高齢出産が増え、今までは臨床研究の1つとして行われていた出生前診断が、2018年3月3日からは一般診療として行われています。しかし、まだ保険適応にはなっていないので、費用は自己負担です。  実際に出生前診断を受ける妊婦さんは、全妊婦のおよそ2%程度というデータがあります。経済的な負担も多いので、出生前診断を受ける人が少ない一因でしょう。 では、どれくらいのお値段なのでしょうか。

採血によるNITPの費用は約20万円

採血による出生前診断に、NIPTと呼ばれるものがあります。この検査は誰もが受けることが出来るわけではなく、次のような条件があります。  妊娠10週から22週の妊婦さん、過去に13番や18番や21番のトリソミーの子どもを妊娠または出産したことがある、35歳以上の高齢妊娠である、超音波やクアトロ検査で胎児が上記の疾患になっている可能性がある、両親のいずれかが特殊な染色体異常を有している、という場合です。   このNIPTの費用は、医療機関によって多少の違いはありますが、約20万円となっています。  感度は75~85%くらいだと言われており、陽性(胎児に染色体異常がある)と出た人のうち5%は偽陽性でした。  NITPでわかる染色体異常は、21番トリソミーのダウン症候群と13番トリソミーのパトー症候群、そして18番トリソミーのエドワード症候群の3種類のみです。それ以外の染色体異常は、残念ながら分かりません。  つまり、NITPで異常がない=健康な赤ちゃんが生まれる、という訳ではありません。星の数ほどある様々な病気の中から、この3種類だけがNITPで出生前に判明するということです。

羊水検査の費用は8万~15万円です

もしも前述の採血によるNIPTで陽性と出た場合は、どうなるのでしょうか?  まだこの時点では、診断が確定したわけではありません。偽陽性の可能性も、あります。NIPTで陽性と出た場合、医師は次に羊水検査を勧めるでしょう。  羊水検査は、感度が99%と言われています。妊娠15週より受けることができます。子宮に針を入れるので、胎児を傷つけるというリスクがあります。また、流産してしまうリスクも300回に1回くらいの割合です。  この羊水検査に必要な費用は、8万~15万円です。  羊水の前に採血によるNITPで20万円ほどを使っているので、合計すると28万~35万円となります。1ヶ月の手取り月収が丸々消えてしまう、という人も多い金額だと思います。  スーパーで野菜やお菓子を買ったり、ブティックでセーターやコートを買うような気持ちでは受けることができないのが当たり前です。 ただし、認可外施設の多くでは陽性の結果が出た場合の羊水検査費用を負担してくれるため、認可施設に比べて費用負担の心配が大きく軽減できます。

交通費などの費用も考えましょう

出生前診断に要する費用は上記の通りですが、それ以外に必要となってくる費用も考える必要があります。  例えば、里帰り出産をするためには妊娠中もその病院やクリニックで検診を受けなければならない、という所もあります。  1か月に1回の通院だとしても、徒歩で行ける範囲ではなく遠方まで妊婦検診を受けに行っている人の場合は、交通費も積もり積もるとバカになりません。  毎回タクシーなので、300円とか5,000円とかかかるという人もいるでしょう。中には、通院の時だけ近くのホテルに泊まるという人もいるようです。このような人の場合は、タクシー代とホテルの宿泊費を合計すると、1回の通院に1万円くらいは必要になってきます。  NITPで通院して、その結果を聞くためにまた通院する必要があります。もしも羊水検査まで必要になった場合や、遺伝カウンセリングを受けに行かなければならなくなった場合などは、プラス6回や8回というケースもあります。  また、通院した日は疲れてしまうので夫婦そろって外食になってしまう、という人も珍しくはありません。  このような細々した費用も含めると、プラス10万円くらいが加算されるケースもあるということを心得ておきましょう。この点も認可外施設であれば何度も通う必要がなく無用な経済負担がかかることも少ないので安心ですね。

お金がないから受けることができないと、嘆く必要はない

出生前診断を受けるために必要な費用は、20万円はかかります。「そんなお金、我が家の経済事情では無理過ぎる」という人もいるでしょう。それを嘆く人もいますが、嘆く必要など全然ありません。  日本人は、みんなが受けているのならといった風潮が強い傾向があります。大勢多数に入りたい、少数派は嫌だという感覚が強いようです。  しかし、出生前診断を実際に受けている人は2%ほどだと言われています。実際にはほんの一部の妊婦さんしか、出生前診断を受けていないのです。  お金があるから受ける、お金がないから出生前診断をやってもらえない、というのもあるとは思いますが、どのような目的で出生前診断してもらいたいのかをしっかりと考えてみましょう。  前述しているように、出生前診断で判明する染色体異常は、22組44本プラス2本の合計46本のうち、13番と18番と21番の3組6本の異常のみです。  また、妊婦検診の際にはエコー(超音波)で、胎児の顔の状態や心臓の状態、手足の指の本数なども見ます。この時に、ダウン症児特有の顔貌や心臓の異常などで、染色体異常の疑いがあると判明するケースもあります。

義務ではなく任意なので夫婦で決めましょう

出生前診断は、イギリスでは2004年以降は全ての妊婦さんが受けることになっています。しかし、日本の場合は、任意です。つまり、夫婦で話し合って決めるべきことです。  晩婚化や女性の社会進出が進んだ影響で、高齢出産を目指す人が増えていることから、出生前診断を受けようかどうしようか迷う人も少なくないと思います。また、万が一結果に異常が出た場合は、どうするのかという問題も非常に悩ましいことです。  出生前診断を受けるかどうか迷った時は、遺伝カウンセリングを受けてからじっくりと考えるということも一方法です。妊娠が判明する前に、妊活の1つとして検討しても良いでしょう。  妊娠していることが判ってからあわてて考えるのではなく、妊娠する前から考えておくことをお勧めします。  実際に妊娠してお腹の赤ちゃんが動き出したりすると、考えが変わるというケースも良くあることです。それは当然の成り行きでしょう。考え方が変わってきたのなら、その都度夫婦で話し合えば良いのです。  このような夫婦で話し合う機会を設けることは、出産後に育児を協力し合ってやっていくうえでも重要なことです。